「賢い」投資家ほど、専門家から投資アドバイスを求めるのか?

「賢い」投資家ほど、専門家から投資アドバイスを求めるのか?

2019/01/24

文責:顔 菊馨

 個人投資家は、機関投資家と比較して、金融に関する専門知識が相対的に欠如していることや情報劣位にあることがしばしば指摘されている。このため、金融知識が欠如している個人投資家には、専門家によるアドバイスが必要であると考えられる。

 Rooiji et al. (2011)は、数学などの基礎知識や実務的な投資知識を含む金融知識全般が豊富であるほど、家族や友人から助言を求めるより、むしろ新聞、書籍、インターネットからの公的情報や専門家からのアドバイスを求める傾向があることを示している。Bachmann and Hens (2015)も同様に、投資能力(investment competence)と金融助言への需要との間には正の相関があることを示している。なお、Bachmann and Hens (2015)の投資能力指標は、金融知識のみではなく、代表性バイアスなどの投資判断において陥りがちなミスを回避する能力も計測していることが特徴的である。彼らはこうした投資能力が高いほど、自分ですべての投資判断を下すより、専門家に投資の意思決定を任せる傾向を持つことを示している。

 また、投資パフォーマンスに対する影響における金融リテラシーと専門家のアドバイスの補完関係を示した先行研究もある。Gaudecker and Von (2015) は、合理的な個人投資家は金融知識が欠如していることを自覚し、外部専門家からアドバイスを求めるため、金融リテラシーが高いグループと専門家からアドバイスを求めるグループの間では、投資パフォーマンスにおいて有意な差が見られていないことを示している。

 以上の研究は、本来、専門家のアドバイスを求めるべきとされる金融知識が欠如した投資家より、むしろ「賢い」投資家のほうが積極的に専門家の意見を求め、この結果、より高い投資パフォーマンスを実現していることを示している。

 

関連キーワード:金融リテラシー

 

参考文献
Bachmann, K., and Hens, T. 2015. Investment competence and advice seeking. Journal of Behavioral and Experimental Finance 6, 27-41.
Van Rooij, M., Lusardi, A., and Alessie, R. 2011. Financial literacy and stock market participation. Journal of Financial Economics 101(2), 449-472.
Gaudecker, H., &and Von, M. 2015. How does household portfolio diversification vary with financial literacy and financial advice? The Journal of Finance 70(2), 489-507.

 

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