フィンテックに関する学術研究の一考察 ~P2P レンディングと暗号資産を中心に~

フィンテックに関する学術研究の一考察 ~P2P レンディングと暗号資産を中心に~

2021/05/06

 

<要約>

・フィンテックは、ブロックチェーン技術などを柱として、資金調達、決済、投資管理、保険の金融サービスにおいて活用される。フィンテックによって、サーチコストの低下、規模の経済、認証費用の低下などが期待される。

・ P2P レンディングはオンラインサービスを通じた新しい資金調達方法であるが、P2P レンディングには固有のメリットがある一方でデメリットも存在する。銀行の資産変換機能を通じた貸付には、スクリーニング・モニタリングを通じた情報生産者としての役割があり、既存の金融のビジネスモデルの中に新しいサービスをいかに取り込むかが戦略上の課題となる。

・ 日本では、件数シェアでは購入型のクラウドファンディングが当初は盛んであったが、近年では貸付型が拡大することで市場規模が拡大している。

・ 暗号資産は、本来は価値を持たない資産と考えられるが、バブルとしての価値を持つ場合、または、暗号資産の保有による流動性サービスから効用を得られる場合に正の価値を持つ。しかし、暗号資産としてビットコインを想定した場合、合理的な経済主体を想定する限り、いずれの場合においても正の価値を持つことを説明するのは困難である。

・ 通貨代替モデルを援用すれば、暗号資産が法定通貨と代替的な決算手段として利用されるようになることは、金融政策の独立性の観点から好ましいことではない。

 

一橋大学大学院経営管理研究科 教授
安田 行宏
一橋大学大学院経営管理研究科 教授
熊本 方雄

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