企業金融の理論と実務 第7回 講義録

2021年10月28日の第7回講義では、ゲストとしてコカ・コーラボトラーズジャパン株式会社CSV推進部長の丸山竜一郎様をお招きし、お話し頂きました。

冒頭の幸田先生によるガイダンスに続いて、みずほ証券サステナビリティ推進部SDGsプライマリーアナリストの香月康伸様より、ESG・SDGsと投資・ファイナンスの結びつきについて、また現在市場でどの様な動きがあるのか、実務家の観点からお話し頂きました。

メインパートでは、丸山様からペットボトルの利便性と現在の日本のペットボトル回収率について、また日本のコカ・コーラシステムの掲げる「容器の2030年ビジョン」として、設計(ボトルto ボトル、容器の軽量化、ラベルレスボトル、100%サスティナブル素材の使用を目指す)・回収・パートナーの3つの柱での取り組みについてご講義を頂きました。

幸田先生・丸山様・香月様による対談では、「サステナビリティの取り組みはどのように企業価値に結び付くのか」、「気候変動リスク・脱炭素への取り組み」「生物多様性、サーキュラーエコノミー、水資源」、「社員教育」といったテーマについて活発な議論が行われました。学生からの「SDGsが世論や世界の潮流となっているなかで、学生にどのような目線で企業のSDGsを見て欲しいか」という質問に対して、「SDGsは非財務的な部分が多く数値で表れないからこそ、しっかりと計画を立てて実際に活動していくことが重要になっている、そうした活動を見て欲しい」と答えて頂きました。また、「リサイクルの過程で温室効果ガスは発生しないのか」、「ペットボトルに代わる新しい飲料習慣推進等によるサステナビリティの取り組みは検討しないのか」という質問についてはそれぞれ、「0からペットボトルを作る際と比較し、リサイクル時の方が排出量を格段に削減できる」、「ペットボトルが0になる社会は想定していない。しかし、消費者のニーズは様々であり、特徴と用途に応じてペットボトルに代わる容器の登場は大いに可能性がある」とお答え頂きました。

COP26の開催を間近に控え、メディアなどで話題になっているテーマであったため、履修者の関心の高さも伺えました。学生では、SDGsやESGに関する具体的な企業の活動内容を聞く機会は少なく、今回の講演がとても有意義であったとの声も多数寄せられました。