企業金融の理論と実務 第10回 講義録
2021年11月25日の第10回講義では、ゲストとしてアセットマネジメントOne株式会社、取締役社長の菅野暁様をお招きし、投資家・資産運用会社サイドから見た社会の持続可能性(サステナビリティ)とESG投資についてお話し頂きました。
冒頭に幸田先生より、菅野様のご講義を理解するための基本的な知識として、機関投資家、資産運用、コーポレートガバナンス、ESG投資等の概略についてご説明頂きました。
メインパートの菅野様のご講義では、まず資産運用業界を取り巻く経営環境についてグローバルの観点からお話頂きました。さらに、サステナビリティの重要性とESG投資や、運用会社におけるESGについて、アセットマネジメントOneの取組みと合わせてご説明を頂きました。
対談パートでは、日本の資産運用業界の発展のためには、海外の運用会社との合併が効果的であり、アセットマネジメントOneをはじめとする金融業界ではそのための人材育成や体制づくりを強化していること、また、日本では日が浅いESG投資を浸透させるために、アセットマネジャーが投資先企業、アセットオーナーへ長期的に働きかけていく必要があるということを中心に、お話し頂きました。
また、質疑応答では、経済発展と環境負荷削減の両立を目指したサステナブル・ディベロップメント本来の意図の実現に向けて、これから発展を目指す途上国に対してどのようにアプローチしていくかについて質問がなされました。これに対して、菅野様より、COP26の経験を交えて、Just Transition(公正な移行)の重要性と、先進国と途上国それぞれの果たすべき役割についてご回答いただきました。国際社会のタイムリーな話題であり、それが金融機関のビジネスにどう関わってくるのか受講学生にとって学びが深まったようです。
履修者からは、「資産運用について、実際の現場の方が何を考え、何を実行しているのかを学ぶことができた」「資産運用会社がESG投資に関して、どう考えているか分かった」などの声が上がっています。